粉体塗装(パウダーコーティング)について

塗装の技術進歩にともない、性能(防錆、強度等)、コスト、仕上がりの美しさ、どの面でも優れ、さらには地球環境にも優しい『粉体塗装』。トキン工業では、業界でもいち早くこの粉体塗装を取り入れ、長年蓄積した確たる保有技術として、多くのお客様からの信頼を得ております。

粉体塗装イメージ

粉体塗装とは?

有機溶剤、水などの溶媒をまったく使わず、粉末の塗料のみでおこなう塗装法を『粉体塗装』といいます。その特性により高品質、低コストを実現し、また省資源であり産業廃棄物量が少ないことから、環境問題にも配慮できる塗装でもあります。

これまで粉体塗装で課題となっていた指定色の小ロット(発注数の少ない)対応については、色替えに時間を要するためにこれには不向きとされてきました。しかし現在では色替えにかかる時間も短縮され、小ロット製品も可能となり、トキン工業でも納期の目安は10日前後で対応する事が可能となりました。

また同じく課題となっていた色数不足も最近ではかなり解消されており、ほとんどのカラーが再現出来るようにもなりました。

粉体塗装のメリット

粉体塗装による塗装面
品質
粉体塗装に使用される塗料の特性、および粉体塗装により形成される厚く強い塗膜強度によりキズがつきにくく、耐候性、防錆性、耐化学薬品性といった塗膜保護の観点において優れており、耐用年数が長いのが大きな特徴です。
加えて塗装面はムラになりにくく、技術進歩によって30ミクロンといった薄膜を用いてもなお、優れた『隠蔽性』『光沢』『平滑性』を保つことが可能となり、なめらかで美しい仕上がりを確保できるようになりました。
コストダウン
コストダウン
塗装の作業効率が良く、不良が少ない事からコストダウンが図れます。また、塗料の回収再利用をすることも可能となっております。
環境問題対策
塗装作業時の大気汚染、火災、中毒などの危険性が極めて低く、作業をおこなう者の健康面において非常に大きなアドバンテージがあります。また産業廃棄物を大幅に低減することから、省資源化に大いに貢献します。さらに有機溶剤をまったく使用しないことから、公害問題が発生しません。
このような低公害性により、商品のイメージアップにも繋がります。
環境問題対策

粉体塗装のデメリット

粉体塗装には、通常の溶剤塗装と比較して以下のような欠点があります。

1. 塗料を混ぜることができない
色の均一化が難しいため、塗料の混合調色ができません。
塗料を混ぜることはできませんが、現在では塗料自体の色数が増えたために、ほとんどのカラーは再現できるようになりました。
2. 色の塗り分けの多い被塗物には不向き
通常の粉体塗装では塗膜が厚くなるため、塗り分けのラインが綺麗に出ません。
溶剤塗装と併用することで対応しております。
3. 調色品に日数がかかる
指定色の調色には長期間を要します。
粉体メーカーにて多くの色数を常備するようになりましたので、在庫のある常備品に対しては対応可能です。
4. 仕上がりの美しさが溶剤塗装に比べると劣る
技術進歩にともなって十分な美しさを確保できるようにはなりましたが、厚塗りになるために溶剤塗装に比べるとどうしても円滑さがなく、表面の美しさに劣ります。
価格が多少上がりますが、薄膜タイプの粉体塗装で対応することも可能です。
5. 耐熱性の低い被塗物には不向き
焼き付け温度が高いため、木工、プラスチック等の耐熱性の低い被塗物には不向きです。
設備などが必要なためあまり市場化されておりませんが、『UV粉体塗装』によって木工、プラスチック等にも適用することは可能です。
6. 現場施工に不向き
粉体塗装は焼付タイプのため、現場塗装はできません。
現場施工では、ポリウレタン樹脂塗料 (二液性タイプ) 、アクリル樹脂塗料などで対応しております。
7. 発注数の少ないものには不向き
塗料が1kg以下の、小ロット (発注数が10以下のもの) 、極小ロット (発注数が1~2個のもの) ではコストがかかるので不向きです。
コスト高にはなりますが、色数は常備品による対策により可能です。

粉体塗装製品

トキン工業で取り扱っている粉体塗装製品には、次のようなものがあります。

建機
フォークリフト、ブルドーザー、ユンボなどの建設機械。タフな日常使用での傷、雨や強い日差し、さびに対して、粉体塗装の強い塗膜強度が威力を発揮します。
建設機械
屋外構造物
風力発電の蓄電池パッケージなど。粉体塗装の雨や日差しへの耐候性、塩害に対する重耐塩性や、適切な膜厚強度による耐久性は、屋外構造物にも適しています。
風力発電の蓄電池パッケージ
屋内構造物
クリーンルームなど。帯電防止効果による室内ゴミ対策にも、粉体塗装は威力を発揮します。
クリーンルーム
電機・通信
配電盤・分電盤、通信機器の受信装置の電源ボックスなど。このような面積の大きい製品には、タレ (液垂れ) やスケ (透過問題) をクリアできる充分な膜厚を可能にする粉体塗装により、良い作業性を確保することができます。
道路
センサー筐体などの屋外仕様に要求される耐候性、高膜厚均一性、量産性に、粉体塗装は適しています。
車両センサー

粉体塗装に用いる塗料の種類

粉体塗装に使用する塗料には次のようなものがあり、用途と特徴に合わせて選択しております。

エポキシポリエステル
エポキシ/ポリエステルのハイブリッドタイプ塗料
用途
一般屋内用途、重電機、電気製品、自動車部品、一般金属
特徴
耐食性、対薬品性、リコート性
ポリエステル
イソシアネート (合成化合物) タイプ塗料
用途
一般屋外用途、建築資料、家庭電器製品、金属製品
特徴
耐候性、耐食性、リコート性
高耐候ポリエステル
用途
建築資材、家庭電器製品、農機具、金属製品
特徴
高耐候性、対薬品性、対汚染性
ジンクパウダー
亜鉛末配合品防錆塗料
用途
ガードレール、道路支柱、高欄、街路灯
特徴
  • 優れた耐食性
  • 溶融亜鉛メッキに匹敵する防錆性
  • 低温硬化である (160℃/10分で硬化)
  • 上塗り塗装作業性が良い